特設コラム
特設コラムSPECIAL COLUMN
Vol.2もし「水準測量」がなかったら?
勾配が分からず、世界が傾いてしまう?!
水準測量とは、ある地点から別の地点までの高低差を測定する測量です。日本の土地の標高は、東京湾の平均海面(標高:0m)を基準にして測られていて、その東京湾の平均海面を地上に固定するために設置されたのが「日本水準原点」です。全国の主な道路沿いに設置されている水準点の高さは、この日本水準原点に基づいて水準測量により決められており、この水準点がその地域において行われる高さ測量の基準となります。
なお、精密な水準測量では高低差を0.1mmまで求めており、下図のように2つの点に標尺を立て、その中間に水準儀を水平に置いて、2つの標尺の目盛を読み、その差から高低差を求めています。これを繰り返すことで、水準点間の高さを求めます。水準測量に使用される測量機器自体は時代とともに進化していますが、高精度に高さを求める基本的な測量方法は今も昔と変わらず、この方法です。
もしこの水準測量がなかったら、たとえば建物を作る基礎工事の際に地面に対して水平に狂いが出てしまい、傾いた建物になってしまいます。また、高低差を間違えると、勾配を使って水を流している場合などに逆流してしまい、目的の場所に水を流すことができなくなってしまうなど、まさに私たちの暮らしに直結している測量技術なのです。