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KINSOKU お仕事図鑑

油壺験潮場

油壺験潮場(あぶらつぼ-けんちょうじょう)は、神奈川県三浦市にある、東京湾の海面の昇降を測るため施設です。

油壺験潮場外観(海側)

国内の土地の高さ(標高)は、東京湾平均海面を基準(標高0m)としています。
しかし、海面は常に変動するため、長期にわたり観測を行い、その平均値を平均海面として採用することになっています。その平均海面を地上に固定するために設置されたのが日本水準原点です。

平均海面は、1900(明治33)年から1923(大正12)年までの23年間の観測結果から算出されました。
当時平均海面を観測していた霊岸島水位観測所での成果と3mmしか違わず、日本水準原点の精度を確保しました。

油壺験潮場外観(陸側)

旧建屋は1894(明治27)年に建設されています。
イギリス積みの「焼過煉瓦」造りとなっています。
「焼過」にすることで吸水性を低くし、摩耗や衝撃に強いレンガを作ることができます。
1995(平成7)年には、機器更新のため、隣接して新建屋が建設されました。

旧建屋は、「我が国の初期の測量技術を今に伝え、日本の標高の基準である「日本水準点」の管理に重要な役割を果たしてきた」として、2018(平成30)年、土木学会選奨土木遺産となりました。

附属水準点「附2」

建屋のすぐ前に附属水準点「附2」があります。
選点は1928(昭和3)年、設置は1930(昭和5)年です。
(地理院地図では、標高4.7m)

基準水準点「基26」

そして、少し上がったところに取付水準点である基準水準点「基26」があります。
選点は1928(昭和3)年、設置は1930(昭和5)年です。
重要な点であるためか、鉄柵で囲まれ、鉄板で蓋がされているため、直接見ることはできません。
(地理院地図では、標高16.6m)

現在でも、油壺験潮場から日本水準原点まで定期的に観測が行われています。
まず、建屋内の固定点から附属水準点まで(距離0.01km)の高低差を求め、続いて、付属水準点から基準水準点まで(距離 0.03km)の高低差を求めることで、取付水準点の標高を求めています。
2015(平成27)年10月の観測では、
・固定点、附属水準点間 高低差 -2.2542m
・附属水準点、基準水準点間 高低差 -11.9573m
・基準水準点 標高 16.6288m
となっています。

場所を地理院地図で確認しましょう。
すぐ近くの電子基準点は、東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所内にあります。

■ アクセス

入口の看板

品川駅より京急線快特列車で三崎口駅(終点)下車。
三崎口駅より京急バス(京急油壺マリンパーク行き)に乗車し、油壺バス停で下車。
バスの進行方向に徒歩約5分で「油壺験潮場入口」という看板(上の写真)がありますので、その横の階段を下ります。
自家用車は、油壺バス停近くの駐車場を利用してください。

■ 参考文献

長谷川昌弘・川端良和:改訂新版 基礎測量学, 電気書院, 2010.
国土地理院(http://www.gsi.go.jp/)
国土地理院海岸昇降検知センター(http://cais.gsi.go.jp/cmdc/centerindex.html)

■ 次回予告

霊岸島水位観測所


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