俺の土木遺産-04|中古沢橋梁
《 第 4 話 》
俺が橋を見るためだけに高野山とかに行くわけがない!サンシャイン!!
ごきげんよう、卒業と同時に国家資格〔測量士・測量士補〕が取得できる近畿測量専門学校(国土交通大臣登録校)です。
今回は、隔週でお届けする(予定)の連載企画「俺の土木遺産がこんなに楽しいわけがない。」です。
※このページの最下部に、アーカイブがあります。
※この連載は、平成26(2014)年度のメールマガジン登録者向けweb連載を再編集したものです。なお、今回は新規追加です。
■ ふたたび高野山へようこそ!
某OSの最初に出てくる「ようこそ」ほど温かみのないものもありません(再掲)。
さて、前回の丹生川橋梁よりも、今回のほうが主調査だったー!
ざんねーん!!
ということで、今回も霊場・高野山。
やはり、調査対象は隧道(トンネル)ではなく橋梁。
もっと山奥になるという。
今度こそ、そこあるのは谷だ。
■ 数少ない形式の橋梁が高野山にある!
では、紹介いたしましょう。
本日の土木遺産は、和歌山県伊都郡にある中古沢橋梁(なかこさわ・きょうりょう)です。
住所:和歌山県伊都郡九度山町中古沢
氏名:中古沢橋梁(なかこさわ・きょうりょう)
年齢:90歳(昭和3年生まれ)
職業:橋梁
地理院地図で場所を確認しましょう。
南海高野線は、高野下駅から、半径100mの曲線や50パーミルの勾配が続く本格的な山岳区間となります。
中古沢橋梁は、南海高野線 下古沢駅-上古沢駅間にある延長67.6m、高さ33.4mの橋梁です。
橋梁を挟んで両側にトンネルがあり、等高線をみると難波側が標高約210m、極楽橋側が約230mなので、橋梁そのものも勾配があることがわかります。
今回も、上古沢駅の南東側に三角点があることがわかります。
※ 四等三角点「阪ノ上」(選点:昭和59年7月21日)
■ トレッスルとプラットトラス
「プラットトラス♪」
「ハイ、ハイ、ハイ!」
(某賃貸住宅のCM風にお読みいただくと、効果を実感できます。)
この橋梁のスゴイところは、国内で数少ないトレッスル橋であることです。
トレッスルとは「架台」のことで、中古沢橋梁はこの架台の上にプラットトラス構造の桁が乗せられています。
近畿でトレッスル橋がみられるのは、中古沢橋梁と、信貴山朝護孫子寺への参道にある開運橋のみです。
(2010年まで供用されていたJR山陰本線 余部橋梁(鎧駅-餘部駅間)もトレッスル形式でした。)
両側の橋台は、前回の丹生川橋梁と同様、レンガ積みとなっています。
■ 建設に貢献した森林鉄道
かつて高野山には、大阪営林局 高野営林署が運営していた森林鉄道が存在しました。
この橋梁は、木材を積んで麓に下りたトロッコが再び山間部へ戻ってくる時に、鋼材を積んでここまで搬送し、組み上げたとのことです。
そのため、各鋼材が標準化(同じ大きさ)していることがわかります。
現在でも、コンクリート製の橋脚や主桁やトンネルなど森林鉄道の遺構が数多く残され、一部は遊歩道として供用されています。
上古沢駅から下古沢駅へ至る散策ルートにもなっているので、この時期は絶好だと思います。
※ インターネットで検索すると詳しい紹介があります。
南海高野線は、大正4(1915)年に橋本駅まで、昭和4(1929)年には極楽橋駅まで開通。
それまで徒歩だった多くの信仰者は、鉄道で容易に高野山へ参詣することができるようになりました。
現在でも、年間110万人以上が訪れている高野山。
土木・測量という仕事は、人々が平和で安らかに過ごしたいという願いを支える、とても有意義でやりがいのある、そして歴史に残る仕事なんですね。
それでは、次回もお楽しみに。
■ 次回予告
《 第 5 話 》俺が川を渡ったりくぐったりする水路に興味がないわけがない
(参考文献)
・和歌山県近代化遺産(建造物等)総合調査報告書
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